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ソルビトールに危険性はある?甘味料の効果と添加物の用途

コンビニ弁当やガムなどが大好きな私ですが、健康が気になってふと原材料が記載されているシールを見てみると、ソルビトール(sorbitol)やアスパルテーム、トレハロースという表示をよく目にします。実はこれらは全て甘味料なのですが、砂糖と比較するとなんだか人工的な感じがして妊娠中など特に人体に悪影響がありそうな気がします。

検索するとソルビトールは危険とか下剤に利用されているだとか、逆にソルビトール液として化粧品に入っていたり糖尿病の患者さんが摂取しているから安全とか色々な情報が出てきます。調べてみると保湿剤や増粘剤、人工甘味料など1980年代から様々な用途で使用されていることが分かりました。今回はこの現在最も様々な使用用途を持っているといわれているこのソルビトール(ソルビット)を中心に3種類の添加物を本当に危険なのか調べ上げました。

ソルビトールとは何?

ソルビトールとは自然界にも存在している糖アルコールの一種で、ソルビット(sorbit)またはグルシトール(glucitol)ともいいます。リンゴなどが属するバラ科ナナカマド属のSorbusという名前の植物から発見した成分なのでソルビトールと名付けられました。用途としては、甘みがあるため飲料や食品の添加物として用いられたり、吸熱反応のため口の中でスーッとした清涼感を感じることから飴やガムにもよく使われます。

ただ、甘味度は砂糖と比較すると約60%と低いため、同じ甘みをつけるには砂糖以上に入れる必要があります。カロリーも砂糖と比較すると75%と低いため、低カロリー食品によく用いられます。解凍したあと食感などの品質が低下しにくくなることから冷凍食品に入っていたり、ソーセージやハム、蒲鉾などにもよく改良剤として添加されます。

また、ソルビトールを含む糖アルコールは小腸から吸収されにくく、腸の中の保水性を高めるほか、腸内細菌を活性化させる効果があるため、浸透圧性の下痢になりやすいという特徴があります。このお腹が緩くなるという作用を利用して、下剤や浣腸液などの薬にも使われています。

 

さらに、毒性や刺激性がなく、保湿効果を持つことから化粧品に添加されます。ベタつく(ネバネバする)ことから増粘剤としても利用されます。さらに、成分の凝固や分離を防止するためにグリセリンの代わりとして歯磨き粉にも入っています。

危険性はどのくらい?

世界保健機関(WHO)と国際連合食糧農業機関(FAO:国際連合の専門機関です)による合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、ソルビトールは極めて安全性が高く、1日あたりの摂取許容量を特定不要と評価しました。

 

なぜ1日あたりの摂取許容量を制限しなかったのかというと、それだけ安全性の高さを認めたからです。危険度でいうとかなり低いということです。しかしながら、以下のような事件が発生したことで、食品添加物としてのソルビットに対して危険性があるという悪評が流れはじめたのです。

イタリア人女性の死亡事件

2012年3月24日にイタリア人の女性(28歳)が医療機関で食品アレルギー検査を受けた後、投与されたソルビトールが原因で死亡したという報道が流れました。同じものを摂取した他の女性2人も体調不良となりました。処方した医師によるとソルビットはイーベイ(eBay:インターネットオークションのサイト)で購入したもので、この問題を受けてイーベイは26日から一時的に低カロリー甘味料のソルビトールの販売を停止するという事態に陥りました。

複数の報道機関によると、問題となった製品はアメリカの大手穀物商社のカーギルが2010年にイタリアで生産したものであることが判明しています。警察当局は、イタリア北部のパドヴァで営業している業者が管理している1200トンのソルビットを押収して、死因の調査を始めました。27日には地元の新聞記事において、「商品が梱包されたときに亜硝酸ナトリウム(ハムやイクラなどの発色剤として利用されます)とソルビトールが取り間違えられたのではないか」という捜査官のコメントが掲載されました。

そして翌日の28日にカーギル社のホームページに、「イタリアの保健省が死亡の原因は亜硝酸ナトリウムであると発表した」という情報が公開されました。業界を揺るがした事件の真相は、亜硝酸ナトリウムの過剰摂取であることが明らかとなったのです。国際的な専門機関に危険性が極めて低いと評価されているソルビトールですが、一時的に悪評が広まってしまったために、消費者の購買意欲が削がれてしまったというわけです。危険度は非常に低いので安心して下さいね。

動物実験の結果

D−ソルビトール入りの栄養補給剤を発売している興和株式会社の医薬事業部による動物実験(ラット)によると、ソルビトールの注腸投与(腸に直接注入すること)では腸壁壊死が引き起こされたと報告されています。また、外国では注腸投与を行ったところ結腸壊死した症例があるとのことで、D−ソルビトールを注腸投与しないよう注意がされています。

 

また、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムのソルビトール懸濁液を経口投与(口から飲んだ)したところ、腸の粘膜が壊死したり、大腸に潰瘍が発生したり、結腸が壊死した症例があるとのことで、非常に稀な例を挙げましたがこういった副作用には注意したいところです。

発がん性の危険はどうなのかというと、科学ジャーナリストの渡辺雄二氏の著書によると、ラット(ネズミ)に対する動物実験では、D−ソルビトールが10%と15%それぞれ入っている餌を一生与えて4世代も育てたところ、異常は現れなかったということです。

 

その他の危険

糖尿病神経障害の原因になる

糖尿病の合併症である糖尿病神経障害はソルビトールが原因の一つとされています。糖尿病によって高血糖の状態が続くと、ポリオール代謝異常が発生して末梢神経の神経細胞にソルビトールが蓄積してしまいます。すると神経線維に障害が起きて手足の先端に痛みやしびれを感じたりするようになります。

虫歯になりにくいというのは本当?

キシリトールのように虫歯になりにくいという情報がありますが、これは本当です。虫歯菌として知られているストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)はソルビトールを発酵させる力を持っています。しかしながら、発酵するスピードは極めて遅いので、虫歯(う蝕)になる危険性は非常に低いです。口の中の酸度は変化しますがわずかなものです。

1985年にアメリカのサンアントニオで開催された食品のウ蝕誘発性を評価するコンセンサス会議では、ソルビト-ルをウ蝕誘発性がゼロ(全くないというわけではないので注意)とする基準の糖と決定しています。つまり虫歯を引き起こす原因にはなりにくいのです。

このように、健康な人が摂取するぶんには害はないことがお分かり頂けたと思います。ソルビトールが添加物として表示されていても心配いりません

ちなみに、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム(ソルビン酸Kとも表示します)という添加物もよく目にしますが、これはソルビトール(ソルビット)とは全く別の物質です。ソルビという3文字が共通しているので何か性質が似ているのかというとそうではありません。ソルビン酸(Sorbic acid)とは不飽和脂肪酸(unsaturated fatty acid)の一種で、細菌やカビの繁殖を抑制する効果があるため保存料として添加されるものです。

トレハロースとは何?

トレハロースとは二糖(炭水化物でありオリゴ糖の一つ)の一種で、動物や植物、微生物などの中に存在しています。特にほとんどの昆虫の血糖はトレハロース(trehalose)で、分解酵素を使ってブドウ糖に変換してエネルギーとして利用しています。保水性が高く、熱に対する安定性もあり、加工食品に広く用いられている糖質です。

甘味度はソルビトールよりも低く、砂糖の38%の甘さしかないので甘味料として使用されることはほとんどなく、カロリーは砂糖と同じなので摂取すると血糖値も同レベルまで上昇してしまいますので低カロリー食品にも利用されません。しかし食品の品質を保持する効果が高く、生鮮食品の生臭さを抑えることができることから製造用剤として幅広く活用されています。

安全性は大丈夫?

アメリカ合衆国保健福祉省に属する政府機関であるアメリカ食品医薬品局(FDA)は、2000年にトレハロースをGRAS(generally recognized as safe)として評価しました。つまり、一般的に安全な物質であると認められるという判断を下したのです。また、欧州食品安全機関(EFSA)からはNovel Food(ノベルフード)として安全性の承認を獲得しています。

長年にわたって世界中で使用されてきた糖質で、これまで安全性の問題が提起されたことはありませんでしたが、2018年1月に怖いニュースがインターネットで流れました。それはイギリスの総合学術雑誌ネイチャー(Nature)のオンライン版に掲載された論文で、内容は流行性のクロストリディウム・ディフィシル強毒株が作り出す毒性はトレハロースが原因で増強されるというものです。

近年になってから致死性の感染症を数多く引き起こしているバクテリアにクロストリディウム・ディフィシル(CD)という細菌があります。ディフィシル菌感染症(感染性腸炎)は1年間に50万人が感染し、3万人近い患者が死亡している感染症です。論文を発表したベイラー医科大学の研究チームによると、RT027株とRT078株は低濃度(500倍程度)のトレハロースによって誘導されて強い毒性を獲得するとのことです。トレハロースが変異体を誘導し、RT027株とRT078株が進化(環境適応)してしまうというのです。

トレハロースの量産開始と患者が急増した時期が一致していることもあり、この論文の内容を支持する専門家もいます。しかし、東京大学大学院農学生命科学研究科が主体となって運営しているNPO法人「食の安全と安心を科学する会(SFSS)」は、科学的エビデンスをもとにしてファクトチェックを実施したうえでこの論文は「事実に反する」との結論を下しています

限りなくフェイクニュース(虚偽報道)に近いとの記載がありますので、興味のある方はホームページでご確認されることをおすすめします。世間的にはソルビトールと同じく専門機関からお墨付きをもらっているし食べても大丈夫という認識が一般的です。

 

アスパルテームとは?

アスパルテーム(aspartame)とはスクロース(砂糖の主な成分)の100倍から200倍の甘味を持つ人工甘味料です。ソルビトールよりもはるかに甘いのに通常の使用量であればカロリーはゼロに近く、天然には存在していない甘味料であるという特徴があります。味の素の商品のパルスイートにはこのアスパルテームが含まれています。この人工甘味料は理論的には摂取カロリーを少なくしたり、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

米国食品医薬品局(FDA)の検査結果によると、ヒトがアスパルテームを摂取してもほぼ分解も代謝もされずに排泄されるということです。このため、副作用も起こりにくいとされていますが、実際には様々な専門家から安全性について指摘されています

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